会話形式で楽しく学ぶ人事労務管理の基礎講座
会話形式で楽しく学ぶ人事労務管理の基礎講座
文書作成日:2021/11/11

 育児休業を申し出た従業員がいたので取得期間を確認したところ、冬季賞与の支給日に重なっていた。賞与の取扱いについて疑問を感じ、社労士に確認することとした。

 11月下旬から約1ヶ月間、育児休業を取る従業員がいます。弊社の賞与の支給日である12月10日は育児休業期間中にあたるのですが、賞与を支給する必要はありますか。

 御社の冬季賞与の算定期間は、5月1日から10月31日まででしたよね。この期間に通常通り勤務していて支給すべき人に該当するのであれば、たとえ支給日が育児休業期間中であっても、支給する必要があります。

 賞与の算定期間がポイントになるのですね。

 その通りです。今回は賞与の算定期間に育児休業期間が重なっていませんが、仮に重なった場合には、重なった育児休業期間の日数分について賞与額を減らすことは問題ありません。ただし、重なった育児休業期間の日数分を超えて賞与を減らすことは、育児休業を取得したことによる不利益な取扱いと判断されます。

 なるほど、毎月の給与はノーワークノーペイと思っていましたが、賞与も同様の考え方ができるということですね。

 はい。ちなみに、育児休業を取得した期間について出勤扱いとして賞与の計算をすることもできます。今後、男性の育児休業取得者も増えてくることが予想され、また、比較的短期間の育児休業者も出てくるでしょうから、賞与額の計算方法は明確にしておいた方がよいでしょう。

 確かに今後はそのような流れになるのでしょうね。賞与額の計算においても、従業員ごとに異なる取扱いをすると不公平感が出るので、ルール化は重要ですね。

 そうですね。また、2022年10月には出生時育児休業(産後パパ育休)の制度が始まり、一部、産後パパ育休中に就業する従業員も出てくるでしょうから、実際には育児休業を取得した日のみではなく、育児休業を取得した日および時間によって賞与額を計算するということになるのかもしれません。

 なるほど、育児・介護休業法の改正の話ですね。承知しました。ところで、今回の従業員なのですが、12月10日は育児休業期間中なので、12月10日に支払う賞与からは社会保険料(健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料)を控除しなくてもよいのですよね。

 確かに育児休業期間について、申し出をすることで社会保険料を免除する仕組みはありますが、今回の場合、賞与を支給する月の月末である12月31日には育児休業から復帰している予定ですので控除が必要です。

 え!?そうなのですか?

 はい、ご存じのとおり社会保険料は、原則として、資格を取得した日の属する月から資格を喪失した日属する月の前月まで1ヶ月単位で発生します。大雑把な表現をするのであれば、月の末日に被保険者であれば、その月の社会保険料が必要になります。これはその月に支給される賞与も同様の考え方を用います。

 ということは、末日である12月31日が育児休業であれば、冬季賞与からは社会保険料を控除する必要はないけれど、今回のように12月31日はすでに復帰しているとなれば、12月分の社会保険料はもちろん、12月中に支給される賞与からも社会保険料を控除する必要があるということですね。

 その通りです。

 なるほど。ちなみに、育児休業の取得期間にかかわらず、末日が育児休業期間中であれば、社会保険料が免除されるのですか?

 現在は育児休業の期間にかかわらず、末日における状況で判断することになっていますが、2022年10月に改正健康保険法・改正厚生年金保険法が施行され、賞与については、1ヶ月を超える育児休業取得者に限り、免除の対象になります。賞与計算をする際には、育児休業の開始日および終了予定日を確認した上で、社会保険料を控除するかを決める必要が出てきます。

 かなりややこしくなりますね。

 そうですね。賞与計算におけるチェック項目の一つになると思います。ご注意ください。

>>次回に続く



 2022年10月に施行される改正健康保険法・改正厚生年金保険法では、給与については末日が育児休業期間中であることに加え、月中であっても2週間以上育児休業を取得した場合にも社会保険が免除されることになります。このような育児休業期間中に負担すべき社会保険料の取扱いは、2022年4月から従業員本人または配偶者が妊娠したことや出産したことを申し出た従業員への個別周知が必要となる事項です。今後、個別周知の方法も検討していく必要があります。

■参考リンク
厚生労働省「育児・介護休業法について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html
厚生労働省「全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案の概要」
https://www.mhlw.go.jp/content/000733601.pdf
日本年金機構「育児休業等を取得し、保険料の免除を受けようとするとき」
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/todokesho/menjo/20140403-01.html

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
 
お問合せ
まつした社会保険労務士事務所
〒530-0012
大阪市北区芝田2-1-18
西阪急ビル7階
TEL:06-6136-7744
FAX:050-3488-3322
メールでのお問合せ